「おかあさんの木」
何とも切ない、何とも哀れと言う他ない・・・そんな映画であった。戦争がなければ、平凡な一家であったに違いない。国が戦争に突き進んだために、子ども達が次々に巻き込まれ、そして命を落とした。
原作は児童文学であり、大川悦生が発表した作品だ。もう発表されて40年という。それが何故今の映画化か。思い当たる節もある。昨今の安全保障のからみを考えてほしい。そう監督は思ったのではなかろうか・・・
このままでは、平和憲法がないがしろにされ、戦争できる国家になってしまう危険を国民は感じているのではないか。
ストーリーはオーソドックスだ。戦争に子を送り出した母親の悲しみ、そう言えば大方分かる内容だ。だが・・・この鈴木京香演じる母親は、7人の男の子をもうけ平和な家庭が、戦争で次々に戦場に子を送るのだ。その度に、キリを植え子の無事を祈った。
しかし・・・長男の戦死を始め、同じような運命をたどる。家には「誉の家」として張り紙があり、いかにも国家への協力が大と近隣に羨ましがられのだが・・・母の苦しみは深かった。夫の事故死のあと、女手ひとつで育てあげた子を戦場に送ることは・・・
狂わんばかりに出征をとめて、あるときは”非国民”のレッテルも貼られる。しかし、7人の子を皆戦場に送ることは、母としていかばかりのものがあっただろう・・・ラストシーンでは、辛うじて救われる・・・と、思ったものの子の帰りも知らずに旅立った母・・・
集団自衛権やら後方支援、果ては同盟国との緊密さを、さらに濃密なものにしようしている国会、これでいいのか、このまま立法をなしていいのか・・・
この映画を観たら、国家と国家の戦争で、家庭が崩壊する、人間が崩壊していくおろかな思いをみることが出来るだろう・・・
確かに近隣の国家には黙っていられないいらだちも分からないではない。しかし、日本がそれにのっては、国民の未来が開かれない。
戦争をしない国家、国民を飢えさせない・・・これが国家の仕事だと、かの菅原文太が言った。俺もそうだと思う。戦争で一番傷ついたのは日本だ。再び、その道に走ってはならない。憲法第9条は世界に誇れる条文だ。それを守らねばならない。
昨夜から雨となった。小雨程度ではあったが、これで田廻りはきょうはいいだろう・・・妻に用事を聞いたが何もないと言う。それならと夕刻に映画となった。重い、苦しい映画であったが、国民の多くの人に観てほしい・・・率直にそう思う。
庭のサツキはほぼ満開だ。サツキは刈り込んで、いろんな形にできるところがいい。花が終われば剪定に入る。
花を愛でることが出来るのも、平和であるからこそである。
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コメント
本当に大将の言う通りです。
国民の多くはそう思っています。
憲法を好きなように解釈して、集団的自衛権が行使できるようにするなど、言語道断です。
今、声を上げる時です。
投稿: 京じじ | 2015年6月10日 (水) 13時47分
京じじ様
同じ過ちをしてはならないと思います。貧乏であっていい、裕福な食事をしなくてもいい、戦争だけは絶対にいけません!
投稿: でんでん大将 | 2015年6月12日 (金) 20時23分