忍びて終わり悔いなし・・・
きょうは映画ファンにとっては、かなしい日になっただろう。例えファンでなくても、日本人の多くの人は悔しい日となったに違いない。
俺は病院での診察を待つ時間にこのことを聞いた。名優「高倉健さん」の訃報である。NHKニュースでは異例な長さでこのことを報道したし、中国でも関連のニュースが報道されたようだ。私たちは偉大な俳優を失ったこととなった・・・
「往く道は精進して忍びて終わり悔いなし」と83歳の命を全うした・・・と事務所から発表された。満ち足りた安らかな笑顔だっということも。次回の作品の準備をされていた最中であったともいう。彼が、次の作品としてはどんなものに興味を持っておられたのか、本当に気になった所である。
不器用だったという彼、無口だったも聞く。そういえば、インタビューを受けても、どこか照れくさそうな顔で語った顔が忘れられない。あれは、俳優と言えど演技ではなく、まったくの真の姿であったのだろう。
10日に亡くなってなぜきょう公表されたのか、実はなぜとの疑問を持ったのだが、それを聞いて益々彼らしいとさえ思った。彼の遺志で近親者のみで密葬として行われたらしい。いかにもテレ屋で、周囲の方々への配慮でもあったのだろう。
あれだけの俳優だから、文化勲章の受章者でもあるのだから、それが分かったら大変な混雑もあったはずだ。彼はそれを望むはずはない。黙って消えて行く、彼らしい最後の男の美学を示したと言える。
彼は映画俳優にはなれると思っていなかったらしい。それに演技はだめで、始めたころは映画にむいていないとも言われたようだ。しかし、彼はそれに反発、怒りが彼のエネルギーに代えたらしい・・・
その事は彼の自叙伝で読んだことがある。いい意味での、言わばナニクソという姿勢がやはり大事なことだと、改めて俺はそう思う。それに、人生の交差点に入ったとき、どの方向に走ったらいいのか、しかしそれは運というものもあるだろう・・・
彼の人気を不動のものにしたのが「任侠もの」であったが、その後、「動乱」や「八甲田山」などの軍隊ものに続いて、「幸福の黄色いハンカチ」であっと言わせた。山田監督との出会いもおおきかったのだろう。
今でもあのラストシーン、空にたたなびくいっぱいの黄色いハンカチが目に浮かぶ。「鉄道員ぽっぽや」も良かった。今では最後の作品になった「あなたへ」も琴線にふれるものがあった。
なんといってもこの格好がいい。駅長の帽子がよく似合った・・・
映画の賞もいっぱい受賞された。文化勲章まで受章した。彼はこれで満足してあっただろうか。否、違うだろう。俳優にとっては、いつも次の作品が一番いいものになるはずだ。だからどんなに立派な賞を受賞するよりも、大方の国民は次の作品が観たかったし、・・・彼こそそう思っていただろう・・・
名優・高倉健さんのご冥福を祈ります。
写真はすべてNHK9時のニュースからです。
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コメント
人の死は常に切ないですね。
任侠ものはあまり好きではなかったので,映画を見ていませんが,幸福の黄色いハンカチ,あなたへ,は男の秘めた思いを見事に演じていたと思います。
お疲れさまでした。
投稿: 京じじ | 2014年11月19日 (水) 07時50分
高倉健さん大好きな俳優さんでした。
まだまだ健康なお方と思っていたのに本当に残念でなりません。
私の息子の勤務するホテルに高倉さんがお客として来てくださり働いている息子達にねぎらいの言葉をかけられ一緒に並んで撮らせて頂いた写真があります。息子も誇らしげに家に送って来ました。今その写真を改めて眺めながら冥福をお祈りしている次第です。
ちっぽけな人にでも声をかけられ思いやりのある人の心の分かる優しい偉大な方だったのですね。
投稿: ぱんだ | 2014年11月19日 (水) 18時41分
京じじ様
まったく同じです。俺も任侠映画というものは見たいとも思いませんでしたし、観たことがありません。彼の中年後の作品は惹かれてほとんど観ています・・・ご冥福を祈ります。
投稿: でんでん大将 | 2014年11月19日 (水) 22時24分
ぱんだ様
そのような関わりと思い出を持っておられたんですね・・・寡黙なしかも男の魅力がありましたね、高倉健さんには・・・。ご冥福を祈るばかりです。
投稿: でんでん大将 | 2014年11月19日 (水) 22時26分