・・・そして、父になる
評判の映画がある。第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した「そして父になる」である。
・・・6年間育ててきた息子は、自分の子ではなかった、出生時に看護師の行為で、他人の子を我が子として渡されたのであった。
それを知らずに過ごして来た日々、学歴・仕事・家庭・・・すべてが順調に展開していた、福山雅治演ずる良多が奈落の底に叩きつけられた。
相手の親も当然ながら苦悩する・・・双方が血を尊重すべきか、過ごしてきた時間を尊重すべきか・・・病院の計らいで、やがて子どもを”交換”すべく両家が動く。
大企業のエリート社員で高級マンションに住む良多。
一方の相手方、リリー・フランキー演ずる郊外の古びた一軒家で電器店を営んでいて子も3人いてにぎやかな家庭。
揺れる二組の夫婦・・・それに、当人の子どもたちも揺れ動く・・・観ているとこころが苦しくなって来て、知らずしらずに目頭が潤んだ・・・
新聞等によれば、1957年からの15年間で32件の赤ちゃん取り違えがあったと報道されている。このころから、自宅出産から病院出産が増えたようで、しかも、看護師の不足や過重労働が、それを発生させたと指摘されたようだ。今回の映画では、他のことが原因で描かれていたのが・・・
取り違えの多かったころの新聞を見ると・・・・兄弟と似ていない、或いはこの映画のように入学時の身体測定で血液型が分かりそれで判明したとか、さらには、映画のように交換が進んだとか、裁判に至ったなど深刻な社会問題であった。
当事者達にしてみれば、その苦悩はいかばかりのものであっただろう。その苦悩は十分に理解できる。血がつながっていないからということで、6年間がどんなに大事な時間であったのか!一概の解答では収まらないのだ。
映画では、二組の夫婦と間違われた子どもたちを通して、親とは?家族とは?幸せとは?など等、観客に問題を提示しながら進んでいく。そして・・・・「そして父になる」父親になっていく・・・
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コメント
そうですねえ、考えただけでもパニックになってしまいそうです。6歳までという設定も辛いですね。この頃までに親子の絆がばっちりとできていますからね。いまさら切れない信頼関係ですね。でもわが子が他にいるとわかるとそれもわが子として育てたいですよね。それがどちらの家族にもあるのですからね。前に本でこのテーマについて読んだことがある気がします。映画になるとよけいリアルで泣けてくるでしょうね。
投稿: はるか | 2013年11月 6日 (水) 14時28分
はるか様
子どもの頃、父から叱られたりすると、俺は子どもでないかも知れない・・・なんて思ったことがありました。兎に角、泣けました、映画には。
投稿: でんでん大将 | 2013年11月 6日 (水) 20時37分