映画「春との旅」
某新聞の映画評論の書き出しがこうだ。
死ぬとき、人は何を思うのだろう。その瞬間が一人なのか、それとも手を握る者がいてくれるかどうかで、人生のラストシーンは違うものになるのだろう・・・これは映画「春との旅」の評の書き出しなのである。
本映画は仲代達矢の9年ぶりの映画である。彼はこの映画を「役者人生の中でもこの脚本の出来栄えは150本中、5本の指に入る」という。実はそれだけ、この映画は彼にうってつけ、ぴったりの作品と俺もみた。
彼が演ずるのは、北海道のかつては漁師・老人忠男の役。妻を亡くし、娘は自死。その娘の子、つまり孫と二人暮らし。その娘もリストラにあい学校の給食婦を辞めている。
その老人と孫の「春」が、旅に出る。その旅は長年会っていない忠男の4人きょうだいを訪ねる旅であった。
そして、その先々でそれぞれが苦しみながら生きてることを知る。当初はきょうだいの誰かに転がり込んで、居候しようとの魂胆もあったのだが・・・・
かつて黒澤作品で、目をギラギラさせていた仲代。今回は実年齢に近いこともあったのか、老いという悲しみ、孤独、生と死が神妙に伝わってきた(´;ω;`)ウウ・・・という事は実は見ている俺自身も、主人公忠男に近くなっているということでもあるだろう。
ヒロインは徳永えり、まださほど売れている女優ではないだろう。しかしそれ故に、むしろ素朴な田舎風な少女がこれまたぴったり!
最近は、アメリカ映画を中心にスケールの大きな、しかもド派手な映画が多い。その中で淡々と老いを見つめるこんな映画もまたいいものだ。監督は小林政広・・・後半の場面、孫が父親に会いに行き、再婚している父親との葛藤シーンがあるが、忠男からみれば娘の下の夫、その再婚相手から発せられることばが涙を誘う。そして、ラスト・・・・・・・
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